前回は、立法・行政・司法という三権を時間的に捉え、その図式は仕事にもあてはまることを書きました。
立法とは将来のルール(法律)を作ること、仕事で言えば、事業計画やプロジェクト計画を立てることにあたる。
行政とは法にしたがって現在を形にすること、仕事で言えば、計画に照らして今やるべきことをやることにあたる。
司法とは過去の出来事を法に照らして判断すること、仕事で言えば、年度の終わりやプロジェクトの終了後に計画と実際のズレを確認することです。
そしてどうしても力を持ってしまう行政、仕事で言えば日々目の前に押し寄せることに飲み込まれないようにすることが大切だ。
そんなことを書きました。
ある物事を、どのような視点で見るか。
物事の意味は、どの視点から見るかによって変わります。
このあたりを上手くやり取りできないと、コミュニケーションが機能しません。
例えば違法にならない範囲の詐欺的な勧誘があったとします。
損得勘定という視点から見れば、利益をもたらすやっても良いことになります。
しかし、正義や公正という視点から見れば、信頼関係を壊すやってはいけないことになります。
同じ物事について意見がかみ合わないのは、視点の違いによる場合が多いのです。
ですから、「何をどのような視点で見ているか」を言葉でやり取りできると生産性が上がるわけです。
この「視点」のことを、近ごろのビジネスでは「フレームワーク」と言っているようです。
業界によって異なる事業特性を把握するための「アドバンテージ・マトリクス」、
組織における変革のプロセスの段階を示した「レビンの組織変革プロセス」など、数え上げれば切りがありません。
フレームワークは、扱える物事が限定されていればいるほど、具体的で扱いやすくなります。
一方、汎用的なフレームワークほど、いろんなケースに当てはまりますが、抽象度が高くなります。
個別的なフレームワークは身に付ければ扱いやすいが、ケースに合わせてたくさん覚えなければならない。
汎用的なフレームワークは覚えることは少ないが、個々のケースで使うにはけっこうな力量がいる。
どんなものにも、メリットとデメリットがあります。(特にデメリットを抑えておくことが大切です。)
前回の「時間的に捉える」というのは、わりと汎用的なフレームワークでした。
今回はさらに汎用的なフレームワークを紹介しようかと思います。
それは「時間・空間・法則」という3つの視点から物事を見る、というものです。
「時間・空間・法則」というフレームワークは、それほど特別なものではありません。
例えば、この世で1番大きなもの「宇宙」についての理解もこの3つの視点で問われています。
「宇宙の始まりとは?(そして、宇宙の終わりとは?)」は時間的な問いです。
「宇宙の果ては?(そして、どんな銀河や星雲がどこにあるのか?)」は空間的な問いです。
「宇宙の法則とは?(物理法則とか宗教的真理とかいろいろあるけど)」は法則的な問いです。
始まりと終わり、どこからどこまで、その中にある法則。
人間が何かを知ろうとすると、どうしてもこの3つを避けて通れません。
じつは、私たちは義務教育段階で、このフレームに沿った教育を受けています。
その1つが社会科です。中学の社会科では「歴史」「地理」「公民」の3つの分野を扱います。
そうです。「歴史」は時間的、「地理」は空間的、「公民」は法や制度などを扱っています。
社会科とは、社会について「時間・空間・法則」という3つから説明しているのです。
社会科については(試験対策のためには)細かい知識をたくさん覚えることも必要だけれど、
世の中で生きていくのに大切なのは、「時間・空間・法則」という3点から捉えると社会が見えてくること、
そのフレームは他の場面でも使えること、それを教えてもらえることだと思います。
(そうしないと、社会科に興味があって、細部に強く、記憶力がある人のための勉強になってしまいます。)
「時間・空間・法則」というフレームワークを用いれば、「宇宙」も「社会」も問うことが出来る。
汎用的とはそういうことです。当然ですが、仕事の場面でも使えます。(やっと仕事のヒントですね。)
「業界」「自社」「製品」どれをとっても、「時間・空間・法則」の3つから見ることが出来ます。
「製品」であれば、製品ライフサイクルの視点で、開発期、導入期、成長期、成熟期、衰退期と整理できます。
また、その製品の市場や顧客のターゲットを問えば、それは空間的な問いになります。
法則に関しては、その製品の製造方法、その製品の活用方法、価格設定などが当たります。
何を考えればよいかわからない。どのように考えればよいかわからない。
そういう経験は誰にでもあるはずです。
そういう場合にはも「時間・空間・法則」というフレームワークを用いるとよいです。
汎用的なフレームワークなので、答えがすぐに出ることはありません。
どちらかといえば、少し具体的な問いが言葉で整理されるくらいです。
しかし、問いが言葉で整理されれば、その次の問いに進めやすくなります。
また、他の人に問いを伝える、共有することが出来ます。
自分が問題としていることは何か。
それをどのくらいの時間の幅で考えているか。
どのくらいの範囲で考えているか。
そこにどんな決まりや条件や制約があるか。
それらを言葉で整理して、上手くやり取りできる。
おそらく、コミュニケションは機能し、組織的な生産性が上がることでしょう。